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TEXT:鈴木雅暢 |
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(3)HDD編 |
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300GB超プラッタ採用製品が続々と登場し、驚異的な性能を見せるなど、性能面で新しい段階に入ってきた印象があるHDD。激しい価格下落、SSDの動向にも注目だ。 |
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■ |
性能面での大幅進化が再来! SSDの動きにも注目 |
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年明け早々に登場したSamsungのSpinpoint F1を皮切りに、334GBプラッタ、あるいは320GBプラッタといった300GB超の大容量プラッタを搭載した製品が各社から登場してきた。それまでの最高は250GBプラッタだったが、それですらSeagateのBarracuda 7200.11 ST31000340ASなどの一部モデルにしか採用されていなかった。その250GBプラッタと比較して28~33%アップという大幅な記録密度向上だ。これだけ記録密度が向上すると、気になるのがパフォーマンス。シーケンシャルリード/ライトでは100MB/sを大きく超えるハイレベルの戦いが予想されるが、ランダムリード/ライトの性能にも注目だ。高級ストレージとして定着した最新SSDのパフォーマンスもあわせてチェックしたい。
価格の変動も激しい。とくに年明けから1TBモデルの値下がりが顕著で、それに押し下げられるように、750GB、500GBといった容量のモデルの価格も下がり続けており、常に買い得感のある状況が続いている。 |
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320GBプラッタ容量の増大=記録密度向上は、シーケンシャルリード/ライトの性能向上に直結するが、実際のパフォーマンスはいかほどのものだろうか。ベンチマークテストでチェックしてみよう。 |
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パフォーマンス、価格ともに熱い注目を集めるメインストリームモデル |
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Western Digital |
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WD Caviar SE16 |
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URL:http://www.westerndigital.com/jp/ |
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Western Digitalの主力製品。現在確認されている320GBプラッタモデルは下に挙げた型番のもの。500GBモデルに関しては同じ型番でも、320/250GBプラッタの両モデルが混在しているので注意が必要だ。下位モデルのCaviar SE WD3200AAJSの一部のモデルでも320GBプラッタのものが存在しており、今回はこれもあわせてベンチマークを測定した。 |
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型番 |
インターフェース |
NCQ |
容量 |
WD7500AAKS |
Serial ATA 2.5 |
○ |
750GB |
WD6400AAKS |
Serial ATA 2.5 |
○ |
640GB |
WD5000AAKS |
Serial ATA 2.5 |
○ |
500GB |
WD3200AAKS |
Serial ATA 2.5 |
○ |
320GB |
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型番 |
キャッシュ |
実売価格 |
1GBあたりの単価 |
WD7500AAKS |
16MB |
15,000円前後 |
約20.0円 |
WD6400AAKS |
16MB |
10,500円前後 |
約16.4円 |
WD5000AAKS |
16MB |
8,500円前後 |
約17.0円 |
WD3200AAKS |
16MB |
7,000円前後 |
約21.9円 |
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Column WD5000AAKSの320GBプラッタモデル |
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WD5000AAKSには320GBプラッタモデルと250GBプラッタモデルが混在しているが、実は見分け方がある。ポイントは製品に貼られているシールに書かれている枝番。WD5000AAKS-xという表記の“x”の部分が、00A7B0となっているものが320GBプラッタのモデルだ。店頭でこれが明記されていることもあるので確認してみよう。 |
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定番の7,200rpm HDDは低容量製品から320GBプラッタ化 |
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Seagate |
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Barracuda 7200.11 |
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URL:http://www.seagate-asia.com/sgt/japan/ |
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5月中旬現在、Barracuda 7200.11シリーズの320GBプラッタモデルは、320GBモデルのみが流通している。ありがちな低価格モデルと思いきや、そのパフォーマンスはかなりのもので、しかも1プラッタ構成であるため、消費電力、発熱面でも有利。さらに、厚みが他社製品より薄い20mmとなっているため、PCケース内でのエアフローの確保も容易だ。 |
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型番 |
インターフェース |
NCQ |
容量 |
ST3320613AS |
Serial ATA 2.5 |
○ |
320GB |
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型番 |
キャッシュ |
実売価格 |
1GBあたりの単価 |
ST3320613AS |
16MB |
7,500円前後 |
約23.4円 |
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CrystalMark 2004R3では、まずSequential ReadとSequential Writeの結果に注目してほしい。飛び抜けて良好なのが、320GBシングルプラッタ採用のBarracuda 7200.11 ST3320613ASで、Read/Writeともに120MB/sという素晴らしいスコアだ。続いてWD Caviar SE16 WD6400AAKS/WD3200AAKS、WD Caviar SE WD3200AAJS、SpinPoint F1 HD642JJ と、320GBプラッタ採用製品が上位を占めた。そして、10,000rpmのWD Raptor WD1500ADFDは、何と5,400rpmのEcoGreen F1 DT HD103UIよりも低いスコアに甘んじている。あくまでもシーケンシャルアクセスのスコアであり、プラッタ容量が2倍以上も違うため不思議なことではないが、ここまで決定的な開きがあると感慨深いものがある。SSD勢はほぼ公称値に準じた結果で、リードはSuper Talent TechnologyのMasterDrive MX SATA-・25 FTM60GK25Hが約107MB/s、ライトではMtronのMOBI MSD-SATA3035-032の76MB/sがそれぞれ最速である。
次はランダムアクセス性能の目安として、Random Read 64Kのスコアを見てみよう。ここでの最速はWD1500ADFDで、10,000rpmの面目をなんとか保った。次いで、WD3200AAKS、WD5000AAKS、WD6400AAKSという結果で、320GBプラッタのWD Caviar SE16シリーズはここでも優秀である。そして、SSDの高速さも目立つ。FTM60GK25HはHDD最速のRaptorよりも5.8倍の速さと、さすがの実力。なお、Random Write 64KでSSDよりHDDが速いのはライトの場合はキャッシュに書き込んだ時点でステータスを返せるためだ。 |
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PCMark05のXP Startup、Application Loading、General Usageの三つはランダムアクセスの比重が高い。そのため、CrystalMark 2004R3のRandom Read 64Kの傾向と似ていて、WD Raptor、WD6400AAKS、WD5000AAKSといったところが優秀である。320GBプラッタモデルは比較的大きなサイズのランダムリード中心のXP Startupでは強いが、リード/ライトがランダムに混在するGeneral Usageでは10,000rpmのWD1500ADFDに分がある。SSDも強く、MSD-SATA3035-032、FTM60GK25Hの2台は3項目の平均でWD1500ADFDの2倍以上のスコアを見せている。
全体として、320GBプラッタモデルのシーケンシャルアクセス性能の強さが実証された結果となったが、なかでもCaviar SE16、とくにWD6400AAKSはランダム系のテストでも強く、総合力の高さが目立った。ランダム系でわずかなアドバンテージを確保しているWD Raptorもシーケンシャル系ではもはやほとんどの7,200rpm HDDに歯が立たない状態であり、総合力では完敗。現時点ではWD6400AAKSが最速HDDと言ってよいだろう。
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【検証環境】
CPU:Intel Core 2 Extreme QX6850(3GHz)
マザーボード:ASUSTeK P5E3 Deluxe(Intel X38+ICH9R)
メモリ:Kingstone Technology KVR1066D3NK2/2G(DDR3-1066、CL=7、1GB)×2、システムHDD:Western Digital WD Raptor WD1500AHFD-00RAR4(Serial ATA 2.5、10,000rpm、150GB)
ビデオカード:NVIDIA GeForce 8800 GTXリファレンスカード
OS:Windows Vista Ultimate SP1
騒音測定距離:HDD前面から3cm(暗騒音35.9dB)
計測対象のHDDはセカンダリHDDとして接続 |
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